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「 【派生コラボ】結局何がしたかった 」
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 頭のいいメンバーで会話させ隊(現在隊員一名)の妄想副産物。
 うちのラインと、センちゃん宅鳥さんと、きょー宅歪氏。
 インスピは化粧話での鳥さんの言動です。ラインと論争させたかったのになんか間違った(←
 ……歪の思考回路がいまいち把握しきれてないので、かなり空気になってしまった……ごめん今度リベンジします(殴
 鳥さんは、マシンガントークよろしく長々と演説演劇っぽく喋らせれば鳥さんらしくなる!ってことに気がついたのだけれど、長々と喋ってもらえるほど架の語彙&文章構成力がありませんでした(血涙


* * *

「ライン様ってさぁ、他人を疑ったりしないの?」
 一人ソファを陣取って、焼き菓子を次々と放り込んでいく口で鳥がさえずった。
「……いきなりどうしたんです」
「俺の常識から考えて、王様にしろライン様にしろ、俺みたいなやりたい放題の奴にやりたい放題させとかないでしょ、普通」
 その言葉に、ラインは突っ伏していた枕から顔をあげた。目隠しの布は明かり取りも兼ねて捲っているので、自分のそれとは違うオッドアイとすぐに視線が絡む。
「……やりたい放題という自覚があるのなら、それで充分じゃないですか……」
「あーそれも一理あるね。ものすごく今更に社交辞令として訊くけど、大丈夫?」
「……どちらかと言えば、否」
 ラインは今朝から体調を崩していた。いつも通り過労が原因である。レヴィナにまた怒られたが、最近右から左へのスルースキルをマスターしてきた気がする。
「話戻すけどさ。ライン様は寝込み襲える状況に他人を軽々招き入れちゃうんだね?」
「……寝込み襲ってこない人間しか招き入れませんよ、私だって」
 枕元の水差しに手を伸ばしたが届かず、仕方なくわずかに体を起こした。
 手酌で水を注いで、飲み干して、またベッドに倒れ伏すまでを、偽物のオッドアイがじっと見ていることを、気配で感じた。
「俺信頼されてるねぇ」
「信頼してますよ」
 枕に頭をうずめるようにして快適な位置を探しつつ、ラインはぼやく。
「……あぁ……だるい……頭痛い……畜生ユフィさんめ……。……私寝ますね……」
「ライン様弱ってるねぇ。今なら俺でも殺せる?」
「できるものなら……やって御覧なさい」
「本当? 言ったね? 言ったねライン様」
「……そう、簡単に……殺さ…………」

「…………、ライン様?」

 すぅ、と聞こえるのは、寝息。
「………………まじで」
 あまりにも典型的なおやすみ3秒だったので、鳥は思わず近寄って確かめた。
 完璧にご就寝である。
「―――ねぇライン様。なんで俺のこと信用できるの?」
 常に隠し持っているナイフを抜き放つ。
 悠然と構えた刃を、心臓めがけて振りおろし―――たが、皮を突き破る寸前で止めた。
 それでも彼は、起きない。
「……なんだ。警戒してるわけでもないのか……」
 つまらない。
 そしてこの無防備さ。
 ―――苛苛する。
 “俺が生きている世界”では、こんな調子ではすぐに殺される。
 国王とはこんなに無防備なものなのか?
 この世界は―――王がこんな調子でいられる程に、平和なのか?
 ああ―――苛苛する。
 妬ましさなのか羨ましさなのか、自分でもよくわからない苛立ちに、鳥は反射的にナイフを振りあげて―――
 止めた。
 止められた。

「―――そういう危ないもの……振り回さないでくださいよ」

 ナイフを握る鳥の手首、振りおろせば貫く位置に愛剣の切っ先を添えて、ラインは欠伸混じりの“お願い”をする。
「……起きてたの?」
「いえ……完全に寝てました。でもお陰で眠気が吹き飛びました。いつからナイフ構えてたんです?」
 鳥が苦虫を噛み潰したような顔をしている。これは信じてもらえていないようだ、と割り切ってラインは魔剣を消した。
 突如殺気が向けられたから、体が反応するままに愛剣を突き付けていたのだが、鳥の反射神経に助けられた。危うく怪我を負わせるところだった。
「しかし鳥さん……私を本気で殺そうとするなんて、あなたらしくもありませんね」
「え? 俺らしくもないってどういうこと? 俺らしいってそもそもなんなの? ライン様は俺の何を知ってるの?」
 不快感も露わに返ってくる声に、ラインは苦笑する。
「私を殺したところで、あなたにはなんの利点もないでしょう。それなのに危険を冒す……違いますね、手を汚そうとするなんて」
「俺にもねライン様、今目の前にいてほしくない奴だっているし、そんな奴が目の前にいたらなんとかして排除する方法を考えるし、それが殺すことだってのもあり得るよ?」

 ノックの音がした。

 全てを見透かすようで居心地の悪いラインの瞳から逃げるように、鳥は不機嫌な顔のまま振り返る。
 廊下と部屋を繋ぐ隙間が作られて、そこから覗いたのは―――鳥とは似て非なる、そしてよく見る彼とも似て非なる、蒼と紅のオッドアイ。
「邪魔をする。ラインはここか?」
 歪の声に、ラインは臥せたまま片手をあげて居場所を主張した。
「いらっしゃいひーさん。こんな態勢ですみません」
 後ろ手に扉を閉めつつ、歪の眉が顰められた。
「……どうした、体調でも崩したのか」
「えぇ、少し……ご心配ありがとうございます。気配がまっすぐこちらへ来るからさすがだなぁと思いました」
「……俺の顔を見るなり、女中が居場所を教えてくれた……さすがだな」
「……ライン様、異国と異世界含め、この城の顔パス何人いるの?」
 他人のことながら若干の危機感を感じつつ鳥が問えば、本人は爽やかな笑顔で「さぁ、数えたことはないので」とほざいてみせる。
 本当に―――この男といいあの鳩嫌いといい、鳥には理解ができない。
 いろいろと諦めて、鳥は先程まで座っていたソファをまた陣取り、焼き菓子を食い散らかすことにした。
「父上は何処にいるだろうか」
「……狂さんですか? 私は会っていません……というか、おそらく我が城にはいませんよ」
 ラインの言葉に、歪の眉が寄る。
「……ユフィから、父上がここにいると聞いたのだが」
「……ひーさん……それ……たぶん騙されてます」
 呆れの滲んだラインの言葉に、鳥は歪へ追い打ちをかける意味で続けた。
「俺は王様の城にいたくーさんに『王様は不在です』と言われたからライン様のところに来たんだよね。グルだったってことかな」
「―――……」
 はぁ、と歪が複雑な表情で溜息をつく。
 そこで鳥ははたと気づいて、気づいたことをそのまま疑問形としてぶつけてみた。
「ライン様。なんで“ヒズミ”って名前で呼ばないの」
 それにラインは鳥へ視線を向け、それを歪の方へ持っていき、もう一度鳥へ戻したところで青を細めて笑った。
「たとえ本当の名前でも……言霊となって縛ってしまうのは、嫌だから」
「それは名前の意味がふざけてるってこと? くーさんのことは“狂さん”って呼んでるのに?」
 それを指摘すれば、ラインは鋭いですね、と返してきた。
「あの人は演じているからいいんですよ……ひーさんは、演じているわけではないでしょう」
 歪は、沈黙していた。
 “何も言わない”という回答に、ラインはくすくすと小さな声をたてて笑う。
「私も同じだから、なんとなくそう思ったのですが。違ったらすみません」
 ラインが何を言いたいのか鳥には理解できないし、したくもないし、第一言霊がどうのとかいう話になった時点で専門外だ。
 癪に障るが、今このタイミングで解説を求めるのも腑に落ちないので、大人しく焼き菓子で腹を満たしていく作業を再開することにする。
「―――呼称というのは、常にその人の耳に入るものだから……、想像以上にその人を縛るものなんですよ。自由たる“極楽鳥”」
 いつもとは違う呼び方に、鳥は一瞬手を止めてラインを見た。けれど当人は既に歪の方へ目を移している。
「狂さんの用は急ぎですか?」
「あぁ、それなりに」
「じゃあ半分仕事の押し付けになりますが……そこの書類の束持ってってください。ユフィさんから頼まれてた雑務なんで、それ人質にすれば狂さん出してくると思います」
「……ライン、お前もなかなか……酷な手を考えるな」
 思わずといった様子で呟いた歪に、たまには仕返しをね、と悪戯っぽくラインが答える。
「というわけで私は寝ますよ、鳥さん。それ食べていくなら今度こそ安眠妨害しないでくださいね」
 名前を呼ばれて鳥は、ラインと、皿の上の菓子の残りの少なさと、もう一度ラインを見て、肩をすくめつつ立ち上がった。
「それなら俺も王様のところ行こうかな。いろんな腹いせにこれ全部食べていくつもりだったけどね」
「持って行って構いませんよ」
「王様のところでもらうからいらないよ」
 答えつつ、慣れた動作で取り出した缶から飴を転がして口へ放った。
 邪魔をした、体は大事にしろ、と言って出ていく歪に続いて、鳥もじゃあねと気だるげに片手を振った。
「またいらしてください。今度は本調子の時に」
 背後から追いかけてくる声を、扉を閉めることで閉じ込めた鳥は、心中で思う。
 ―――本調子でなくてあの隙のなさか、笑える程に隙のない男だ。
 そして鳥は、どうしたらあの笑みを歪ませられるかと思考を巡らせて―――歪んだ笑みを浮かべる。

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