8月終わる前になんとか!と思って突貫で書いた(←
真子斗が誘いにくるとかいろいろ設定があるんだけれども、面倒だから全部すっとばす!(殴
へきさんこと碧様の手による素敵漫画とリンクしてます。気になる方は企画ページかへきさんのブログにとんでね!
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「―――……うん、鳥。それでなんだ、結局サチコから逃げてきたってことで了解していいか?」
三人を少しの間放っておいて、“この世界”へ誘ってくれた本人とその旦那(当人たちは認めていないようだが傍から見れば完全に恋人どうしである)をひやかしてきたら、こちらはこちらでなんだか大変な……撤回、いつもの騒ぎが起こっていたらしい。
「逃げてきたんじゃないよ、それじゃ俺が臆病者みたいじゃないか。避難してきたんだよ」
「……どう違う」
「怖くて逃げてきたんじゃない、命の危険を感じたから死なないために逃げてきたってことさ! なに王様、そのくらいの言葉の違いもわからないの?」
あぁそうですか。
屁理屈にも聞こえるのに論破できる語彙と思考能力が自分にはなくて、ユフィは鳥の言葉を華麗に無視することにした。
三人と合流するつもりだったのに、発見できたのが目も眩む夜店のライトに負けないくらいの極彩色だけで、しかも水嫌いの彼がわずかに髪から水を滴らせて道行く人を呪い殺しそうな目をしていたから、人通りのないところへ連行して事情を聞きつつ乾かしてやったのだった。
池がないから安心かと思ったが……サチコもなかなか考える。抱いた感情は尊敬なのか呆れなのかよくわからない。
「まぁ……機嫌直せよ。いつものダイブに比べたらマシじゃないか」
「既に『いつもの』って恒例行事になってることが悲しいよ。俺は悲しい! さっさんいつかぶっ殺す!」
「……お前の力じゃたぶん無理だ……」
「いいやぶっ殺す、いかなる手段を使ってもね」
正面突破が無理なら他の手段を考えるまでだよ、と歪んだ笑みを浮かべた鳥に、不覚にも背筋が冷えた。
「とりあえずなんか食うか。腹減った」
狂から軍資金を少々拝借している。何故狂がこの世界の通貨を用意できるのか甚だ疑問なのだが、とりあえずもらえるものはもらっておこうと思う。
「何が食いたい?」
「甘いもの。」
「……聞いた俺が馬鹿だったな」
「王様は馬鹿でしょ」
「―――……。……はいはい、俺は馬鹿ですよ……」
げんなりしつつ通りに戻ろうと歩き始めれば、「だから王様は馬鹿なんだよ」と追い打ちをかけつつ鳥がついてくる。『鳥がついてくる』とはなんだか親鳥になったようだ。ついてこられるということは信頼……否、気に入られているということだろうか。信頼という言葉はこの極楽鳥には似合わない。
「甘いもの、甘いもの……、あぁ、なんだっけマコちゃんが言ってたの、わたあめ?」
「飴が綿なの? 王様それ食べたい、どこにあるの探してよ」
「貴様で探せ」
「って言ったとたんに見つけたよ王様!」
偽物のオッドアイがきらりと光った。示された先の露店では、ユフィには文字こそ読めないものの、綿以外に形容できないものが生成されている。
「……あれか」
「買って! あれ買ってパパ!」
「こんなときだけパパ言うな馬鹿息子」
数字の読み方と紙幣貨幣の数え方は教わっていたので、コインを一枚渡してやった。
「よし行ってこい」
「ありがとうパパ! パパにはあげないね!」
「―――……。」
余計なひと言に頭を抱えつつ、なんだかんだと言いながら結局は彼を放っておけない自分に、苦笑した。
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