忍者ブログ
+ユメイロファンタジア+
「 【派生コラボ】言霊使い 」
nameless days


skypeID = kakeru_ruki


応援
これはほんとにすばらしい
お天気戦隊ハウウェザー
プロフィール
HN:
架琉綺(カケルルキ)
年齢:
34
HP:
性別:
女性
誕生日:
1990/01/22
ブログ内検索
コメント一覧
(08/29)
(08/23)
可愛い(返信済)
(02/18)
行く(返信済)
(12/22)
無題(返信済)
(05/13)
カレンダー
04 2024/05 06
S M T W T F S
1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 31
バーコード
最新トラックバック
OTHERS
Powered by 忍者ブログ
Templated by TABLE ENOCH


×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

ベレルドと若くーさんの話を、きょーと文字通りのリレーで書いた。保存したままだといろいろと不便なので晒しときます。
ちょっとだけBLまじってるので注意!!
いいの思い浮かんだら加筆修正します……たぶん。
↓こんな感じの鬼畜パパの話だよ(笑

こういう顔するとユフィに似てる。


「言ったろう、この国では俺が絶対だ。―――『跪け』、狂」
 その命令詞に、その声に、有無を言わさぬ凛とした響きに―――四肢の自由も思考も絡め取られて、気づけは狂は、膝を折っていた。
「は…………アス……っ」
 どこか悔しげに眉を寄せて、目の前の青年を見上げる。頭を下げないようにする、ただそれだけのことで手いっぱいだった。
「……さすが“時渡り”だけあるな、まだ抵抗できるか」
 玉座からゆうるりと立ち上がったベレルドが、己の目の前に悠然と降り立つ。それを狂は、ただ見上げることしかできない。
「これ、俺の十八番だからな……ここまで抵抗されると若干……苛苛する」
 目の前に現れた夕陽色に、頬をなぞる繊細な指先に、青年はその黒髪を揺らす。
「やめ、ろ………アスッ」
 苛烈に燃える夕陽の双眸、狂気さえ孕んだその色に、狂は声さえも封じられ。
 触れられた頬から、ざわりと恐怖が走る。体が動かない。目が離せない。
 普段からどこか狂気的な印象はあった。その正体を狂は今明確に感じ取った。
 それは―――恐怖するまでに凄まじい独占欲と、支配欲。
「……っ…………」
「くく、喋れねェのか? 可哀想に」
 狂が口に出そうとした言葉を正確に理解しながらも、王はただ、その頬を撫でる。恐ろしい程に優しい仕草に、だからこそ背筋が冷えた。
「俺には許せねェことが一つだけあってな、狂」
 にぃ、と弧を描く唇が、音を呪縛にして紡ぐ。耳朶から頭蓋を侵食していく密度をもった音に、神経さえもが侵される。
「―――俺は絶対だ。だが俺を、俺のやり方を、唯一と崇められることは―――大嫌いなんだよ」
 その一言に、狂は己の失言を理解し―――あぁ、と納得した。
 こいつも人間なんだ。
 迷うことも、悩むことも傷つくこともある―――人間なのだ。
 しかし、今更それに気付いても、狂にはもう失態を弁明することすら許されていない。目の前に立つ王は、青年の口をとうに塞いでしまっているのだから。
「…………っ」
 喉にまで掛かる声は、しかし音になることはなく、ただむなしく空気を動かす。
 硬直した時間。それは数秒のことであったのかもしれないが、狂にとっては永遠のようで。
「―――飽きた」
 ふぅ、と溜息に乗せられた一言に、時間の呪縛が解ける。
「狂、『もう怯えるな』」
「―――ッ、ぁ、は……!?」
 夕陽が閉ざされたと同時に突如戻ってきた“自由”に、狂はその場に倒れこむ。
「……悪かったなクー、今機嫌悪くてな……半分八つ当たりだ」
 唐突に自由になった体が、酸素を求めてせき込む。
「はっ……は…………アス……オレは」
 開き掛けた唇は、しかし王の指によって塞がれる。一瞬前まで恐怖を伝道するだけのものだったそれは、しかし今はどこまでも優しく、温かかった。
「いいさ、俺が悪かった」
 こちらを見る夕陽が、先程とはまるで別人のような、痛みを堪える色で―――その不意をつかれた変化に、狂はまたしても声を奪われる。
 ―――なんで、そんな顔。
 そんな顔は、みたくなかった。
 だから。
 だから、勢いよく起き上った狂は、目の前にある王の背中を引き寄せて、そしてその唇を自身の唇で、埋めた。青年は、王の表情を和らげる言葉など、持ち合わせてはいなかったから。
 驚いたように目を見開いたベレルドは、しかし狂を引きはがすような真似はしなかった。
 先程まで自分を縛っていた声を、今は自分が封じている事実に気づいて、狂は少しだけ―――安堵した。
 唇が、離れる。
「………避けなかったん、だな」
「―――避けてどうする」
 す、と手が伸びてきて、狂の頬に触れた。先程と同じように優しくて―――けれど恐怖は、感じない。
 こちらを見る夕陽は慈しむように細められて。
「それで貴様の気が済むなら。……おあいこだ」
 おあいこだ、って―――と狂の胸が疼く。いつでも救ってもらっているのはこちらなのに、この男はそれを―――軽く笑い飛ばしてしまって。


 ああ、どうせ敵いは……しない。それでも隣に並びたいと思うのは、我儘な願いか?

 

PR
COMMENTS
TITLE

NAME

MAIL

HOME

PASS
Vodafone絵文字 i-mode絵文字 Ezweb絵文字
COMMENT
TRACKBACKS
[PR]