ああそうか、当日のことじゃなくて翌日のこと書けばいいじゃん!(本日最大のひらめき
ということで、バレンタインを一日過ぎた当人無自覚バカップルの話。
ということで、バレンタインを一日過ぎた当人無自覚バカップルの話。
――――――
「……ラインさん、その山なに……」
「見てわかりませんか……昨日一日で届けられたチョコその他です」
執務室の一角に築かれた、装飾もきらびやかな箱の山。
雪崩を起こしそうなそれを眺めつつ、真子斗はライン王の人気を再認識する。
こちらの世界のバレンタインは、男女問わず大切な人に贈り物をする日なのだそうだ。物をあげる人もいるが、だいたいがチョコレートなどのお菓子だという。
「もう私一人じゃ食べきれないので、マコトさん手伝ってくださいよ」
執務机の端に移してある山の一部の中から新たに一つ開封しつつ、ラインが言った。
「え、いいの?」
真子斗としては断る理由が何もないので、さっそく山を崩しにかかる。手に取った袋のリボンをほどき中を見て、
「……ごめん、このマドレーヌ手作りっぽいんだけど……!」
ご相伴にあずかるには少々重い。主張するとラインは苦笑した。
「あぁ、そういうのは申し訳ないので私が食べます」
じゃあマコトさんはこっち、と手元にある明らかに市販と見えるチョコレートの箱を差し出してきた。
交換交渉に乗って手に入れたチョコレートをほおばりながら、山の中から次の狙いを定める。あ、これ中身生チョコだおいしい。
「ラインさんさー、毎年こんな量のお菓子もらうの?」
「そう……ですね、だいたいこのくらいの」
「すごいねぇ……フィオナとかに手伝ってもらうの?」
「あぁいや、姉上は姉上で大量にもらってますから」
真子斗は思わずラインを振り向いた。マドレーヌをかじりながら書類を捌いていたラインは、その視線を感じたらしく顔をあげる。
「……え、なにか?」
「そっか、こっちのバレンタインは男女問わずなんだよね」
真子斗の認識だと、バレンタインに獲得数を稼ぐのは主に男性で、特例として女子高の王子様的な……まぁフィオナがかっこいい女性であることは否定しない。
それにしても、手作りのものはちゃんと自分で食べるラインは優しいと思う。新たな包みを手に取ったところで、真子斗ははたと気がついた。
あたしのはどうした。
ちらりとラインを盗み見る。昨日は何か事件があったらしく、一日中眉間にしわを寄せて部下らしき人に指示したり使者らしき人と話したり書状らしきものを書いたりしていたので、真子斗はせっかく作ったチョコレートマフィンを、ついぞ手渡すことができなかった。妥協策としてベッドサイドの机に一言添えて置いておいたのだが、それについては今朝爽やかな笑顔で「ありがとう」とは言われたものの、まだ感想を聞いていない。
「……ラインさん」
不安になって、名前を呼んでみる。紅茶を啜っていたラインの視線がこちらへ動く。
「あのさ……あたしの、は……」
どうだったと聞くべきか、食べてくれたかと聞くべきか、一瞬悩んだ沈黙。
「おいしかったです」
その間に、ラインはふと微笑する。
「マコトさんの手作りでしょう? 嬉しくて見つけた瞬間開けてましたよ、夜中だというのに。……あぁ、昨日は慌ただしくて、直接受け取れずにすみませんでした」
夜中だったからすぐにお礼にいけず申し訳ない、とラインは重ねて謝る。
「結局昨日の内に食べたのは、あなたの分だけだったな……姉上からのもさっき食べたし」
「ラインさん」
とりあえず遮ってから、真子斗は次の言葉を探した。ラインはじっと待ってくれている。
「おいしかった?」
「ええ、とても」
「昨日の内に食べてくれたの?」
「もちろん。嬉しかったですよ」
「………………、」
真子斗は早足でラインに歩み寄って、そのままぎゅうと抱きしめた。
「ラインさん大好き!」
「ありがとう。私もです」
そっと頭に回された手が、髪を梳くようになでてくれる。
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COMMENTS
おっと;;
コメもらったの久々で反応遅れました;;
可愛いと言ってもらえて幸せ!そうなんですこいつら可愛いんです(←
可愛いと言ってもらえて幸せ!そうなんですこいつら可愛いんです(←