突発で浮かんだネタを続きに格納。
最近SSばっか書いてる気がします。
ウィルトの口調を書くのは楽しいのだけれど、ティアスの行動はまだよくわかりません。
うーん、ラインもウィルトも自分で動いてくれるんだけどなぁ……。やっぱりできてから日の浅いキャラは難しいです。
最近SSばっか書いてる気がします。
ウィルトの口調を書くのは楽しいのだけれど、ティアスの行動はまだよくわかりません。
うーん、ラインもウィルトも自分で動いてくれるんだけどなぁ……。やっぱりできてから日の浅いキャラは難しいです。
++―――++
「ライン! 本を返しに……って、あれ」
その唐突さがまさしく父親譲りであることを、ティアスはおそらく気付いていないのだろう。
勝手知ったるセンティレイド城、ラインの私室を開いてみれば、先客がいた。
「あぁ、ティアス」
「これはまた。随分と久しい顔だね」
ラインと向かい合ってコーヒーを啜っていたのは、エルグランド王ウィルトだった。挟まれたローテーブルの上には、文字の詰まった紙が何枚も広げられている。
「ウィルトさんじゃんか。ラインの所にいるなんて珍しいな」
言いながらティアスは二人の間に座った。ウィルトの眉が不愉快げに寄る。
「少年、年上は敬うものだよ。なんだいその口のきき方は」
「なんだよ、さん付けしてるじゃん」
「あぁ。じゃあラインよりは上な訳だね。それなら構わない」
「……どういう意味ですウィルト」
今度はラインの眉が寄った。それにウィルトは、ふ、と嘲笑を浮かべる。
「そのままの意味だよ馬鹿ライン」
「ラインはバカじゃねぇよ」
むっとしたように反論したのは、本人ではなくティアスだった。一瞬目を瞠った二人だが、すぐにラインは呆れたようなはにかむような微笑をして、傍のワゴンに手を伸ばし空のコーヒーカップを取った。
ウィルトの方は腕を組んで息をつく。
「あのねぇ少年。言葉の文(あや)というものを知っているかい?」
「本気じゃないのか」
「……それにしては、罵られる頻度が高いですけれどね」
ラインがティアスの前にコーヒーの注がれたカップを置いた。謝辞を述べたティアスが早速砂糖を落とす。
「わからないのかい。それは俺の愛情と、語感の勢いだ」
「真顔で随分なことを……」
「ラインをいじめるなよ」
「だからね少年、年上は敬えと」
「敬うよ。でもラインの敵はオレの敵だ」
「は? ……いや、もういいよ」
溜息をつきながら、ウィルトが肩を竦める。どうやらティアスのライン至上主義に負けた様子だ。
「敵」
反芻して、ラインはくすくすと笑う。
「嫌われましたね、ウィルト。敵だって」
「うるさいよ」
普段なら更に「殴られたいのかい?」とでも続きそうなものだが、ウィルトは押し黙った。そんなことを言えばティアスから更に攻撃されそうなことがわかりきっているからだろう。不毛な言い合いを楽しむような人間ではない。
はぁ、と再度溜息をついて、ウィルトは立ち上がった。
「帰る」
「おや、早い」
ウィルトは面倒だと言わんばかりの表情で髪をかき上げた。
「君との話は終わったしね。少年は少年でラインに用があるんだろう?」
「ん、それなりに」
コーヒーに口を付けながらティアスが頷くと、ウィルトはあっさりと踵を返した。
「ならば俺にここにいる理由はない。お邪魔したね」
「あぁ、じゃあ任されたことはやっておきます」
頼むよ、と振り返りもせずに言い置いて、ウィルトはそのまま去っていった。
その背を見送っていたティアスが、ラインの方を向いて首を傾げる。
「ウィルトさんって、付き合いにくい人だよな」
それはお前も同じだ、という台詞を、ラインはなんとか呑み込んだ。
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