本編のどこかに入れようと思ってたんだけど、11章の中に場所が見つからず、これ以降どこかに入れられそうもなかったのでもう単体で晒すよ……。
二人の関係はこれが普通なんだけど、読み返した作者が「BLくさい……」と苦笑したので、極度に苦手な方は一応注意。
……あ、でもこれが苦手だと思う人は、久遠本編読まない方がいいですね……(←
いや別にBLじゃないんです。ラブじゃない依存関係なんです。(説得力薄
フェイドは無口キャラのはずなのに、本編では喋らせないと話が進まないし、小ネタで書くときはルフィスだのユフィだのとばっかり絡むから口数多いしで、結局キャラの特徴活かしきれてない(←
* * *
しとしと。しとしと。
雨が降る。
「……お前ほんと飽きないな」
「何が」
ルフィスの言葉に辟易したような調子を読み取って、フェイドは窓の外に据えていた視線を動かした。
声音と同じ顔をしたルフィスがこちらを見ている。
「雨。好きだよなぁお前」
「好きだ」
「俺は嫌いだよ……鬱陶しい」
「価値観の違いだな」
はっきりと言いきると、親友は不思議そうな顔をした。
「……どうした?」
「いや……お前が俺の意見を真っ向から否定するの、珍しくないか」
「……あぁ……そうかも知れんな」
それには同意して、フェイドはコーヒーを一口啜った。
ユフィなぞによく、お前はルフィスの言うこと聞いてるだけなのか、自分の意見はないのかと言われることがあるが、そうではない。フェイドが最善だと思える結論を、ルフィスが先に提示してしまうだけなのだ。何も考えていないわけではないし、ルフィスを妄信しているわけでもない。
妄信しているわけではないが―――自分より早く確実に“正解”を導くことができるルフィスを、尊敬はしている。
そして―――その人柄も。
「……俺とお前は、陰と陽、なのだと思う」
「あ? なんだ急に」
雨粒が窓を叩き、それが景色をぼかしている様をぼんやりと眺めながら、フェイドは考えたことをそのまま言葉へ変換する。
「お前は、とても眩しい。誰にでも分け隔てなく接することができ、且つ、誰からも信頼される。俺は、きっと……お前がいなければ光ることができない。俺が今の俺で在れるのは、お前の、おかげだ」
「多めに見積もって半分な。ちゃんとお前の実力だ、自信持て」
「その自信をもつことも……俺一人では、できなかった」
ルフィスが立ち上がった。
何事かとフェイドはその動きを目で追う。親友はコーヒーカップを片手に、窓へ寄った。窓枠に背を預けるようにして、外を眺める。
「俺の瞳はよく、晴れ空の青と形容されるなぁ」
あぁ美しい色だ、とフェイドは微笑しつつその青を見つめた。
その眩しいくらいの明るさに―――思わず目を細める。
晴れ空より深く澄んだ青はまっすぐにこちらを見て、お前は、と続けた。
「お前は、宵の空だな。一日の終わりを優しく包む時間の色だ」
考えたこともなかった形容に、フェイドが目を瞠っていると―――
「陰と陽、確かにな。だからなフェイド、おそらく俺とお前は―――二人で一人前なんだ」
二人だから、この世界をつくることができたんだ―――。
茫然とその言葉を聞くことしかできないフェイドに、ルフィスはにこりと笑いかける。
「というわけで。これからもよろしく頼むぜ、相棒」