さすが和彦さん……すげぇ。やっぱり何か持っている。
そんな井上さんの生ラジオが楽しみです。来週だ!
◆今日はポッキーの日だよ、ということでポッキーゲームSSです。
絵もつけたかったけど、思いの外手こずったのでナシで……;;
なんかもう、みんなしてテンションがおかしいのであしからず。
何がおかしいって、ウィルトのキャラがおかしい。(←
+ポッキーゲーム+
王様だーれだ。
「お、あたしでーす!」
アーリスとハーディのクラッカー早食い対決で大笑いしたおかげでテンション最高潮の真子斗が、手にしたくじを高々と掲げた。
そこには王冠のマーク。
その他のメンバーは各々自分の番号を確認する。
「じゃあ、1番と4番がポッキーゲーム!」
「……ポッキーゲーム?」
声にしたのはフィオナだが、みんな一様にきょとんとしていた。あぁそうかと真子斗は少々反省する。王様ゲームも真子斗が紹介したものだし、持参したポッキーだってみんな今日初めて見たのだ。
「これをね、二人で両側から食べてくの。先に口を離した方が負け」
最終的にどちらもひかなければ、キスするはめになる。が、その辺は説明しなくても察してほしい。
「へー。じゃあ、」
と、フィオナがポッキーを口にくわえる。
「4番は誰かしらー?」
「あぁ、私です」
予想外というか予想通りというか、何かが腑に落ちない組み合わせに真子斗が怯んでいるうちに、ラインがフィオナの隣に移動して、反対側をくわえた。
「はいじゃースタート」
ユフィがにやにやと笑いながら特に必要性を感じないスターティングコールをかけて、結果的にそれに合わせるように二人が食べ始めた。
すぐにやりにくさを察したらしいラインが、フィオナの顎に手を添える。距離が縮まる。二人に躊躇はない。唇が重なって、微かなリップ音。
「「ストーーーーーーーーップ!!」」
遅いと分かっていながら叫んだ真子斗と、ウィルトの絶叫が完全に被った。
目を瞠った双子は揃って真子斗とウィルトの顔を交互に見遣る。
「……び、びっくりした」
「なんです急に……」
真子斗とウィルトは一瞬視線を交わし、ウィルトが譲ってくれたので真子斗はばんと机を叩いた。
「違う。違うんだよ! ポッキーゲームの醍醐味はそうじゃないの!」
「……そうじゃないって言われても」
「わーこのままじゃキスしちゃうじゃない、でも負けたくないしどうしよう、っていうどきどきがおもしろいんじゃん! フツーにやってフツーにキスしちゃつまんない! てか羨ましい!」
「羨ましいって……まぁラインは私の愛人だからね?」
くす、と妖艶な笑みを浮かべて、フィオナは弟の首に手を回す。ラインは姉の髪に手櫛をいれながら苦笑した。
「弟つかまえて愛人とは……おや、では旦那様がいらっしゃるのですか」
「いないわよー。馬鹿ねぇ、いたら真っ先に紹介してる」
「言い寄ってくる方は多いのでしょう?」
「その台詞そのまま返すけど」
「―――君達は本当に、小さい頃からイチャイチャと……」
地の底から響くようなウィルトの声に、二人揃って身を固くする。
「ウィ、ル……?」
「フィンちゃんが穢れるだろう、離れるがいいよ馬鹿ライン!」
「穢……、酷い言われ様ですね……」
ラインの顔がひきつった。フィオナは困ったような恥じらうような、複雑な表情を浮かべる。
「フィンちゃんは可愛いんだから害虫もつきやすいだろうに、それから守るのが君の役目じゃないのかい? 君が害虫になってどうするんだ!」
「……言いたいこと言ってくれるじゃありませんかウィルト。誰が害虫ですって?」
「ラインさんは害虫じゃないよ!」
突如として割り込んできた声に、全員が真子斗を見た。真子斗はウィルトを睨んでいる。
「ユフィさんじゃあるまいし!」
追加で名指しされたユフィが「おおっと……」となんとも言い難い顔をしているのは、さらりと無視された。
「悪いねマコちゃん、でもこいつは君のフィアンセである以前に俺の悪友なんだ」
フィアンセ、のところで真子斗とラインの顔が赤くなる。
「はぁ……恥ずかしいくらいにわかりやすいね」
「違……ッ」
「君にはマコちゃんがいるんだから、フィンちゃんまで独り占めするのは許せないよ。俺にくれたらどうなんだい?」
「……、え? ちょ、ウィル、それは」
ウィルトに腕を引かれたフィオナの顔も上気した。
「……止めなくていいんですか、ユフィ様」
げんなりとした表情で騒ぎを眺めるハーディとは対照的に、ユフィは楽しそうにくつくつと笑った。
「いいと思うぞ、愉快だから放っとけ」
「じゃあ誰も見てないうちにポッキーたべちゃおー」
皿に手を伸ばすアーリスの頭をぽんぽんと叩いて、トレバーが笑う。
「新しいペアでポッキーゲームやるかもしれないから、少しは残しておきなよ」
ああ、とユフィが息をついて、しみじみと言う。
「若いっていいなー」