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 某方から「男前なハーディがよみたい」とリクエストいただいたので。
 男前になったかどうかは謎(←

 実は、ハーディは公私を厳格に分ける人で、ラインのことも普段は「ライン様」だけど「陛下」呼びで敬語になったりします。


――――――

 ノックに対する返事の声が、いつもと少し違う気がした。
 もしかしてと予想を立てつつ、ハーディは執務室の扉を開ける。
「ようライン様、今ちょっと時間いいか?」
「ん……大丈夫だ。どうした?」
 当初の目的より先に訊くべきことができたので、そちらを優先。
「寝てたろ」
 単刀直入に訊けば、ラインの肩がびくりと反応した。
「……寝てません」
「いや寝てたろ」
「寝てない」
「そっか。涎の跡あるけど」
「っ!?」
 ばっ、とそれはもう音速の勢いでラインが口許を隠す。何よりの肯定だ。
 裏付けが取れたことにハーディが溜息をつき、それによってカマをかけられたことに気づいたのだろう、ラインはがくりとうなだれた。
「……寝てた……その通りです寝てましたすみません……急いで片付けます……」
「いや俺が言いたいのはそういうことじゃねぇよ」
 ふらふらとラインが取り上げたペンを取り上げる。
「……何するんだハーディ……続きができない……」
「まず俺の話を聞いてくれ」
「あぁ……そうだなすまん」
 ラインが疲れているか否かは言動でわかる。いつも一を言う前に十を言ってくるラインが、こちらの言わんとするところの先が読めていないのだから、思考能力が低下している証拠に他ならない。
 もう昼前だというのに、机の隅に手をつけていないパンが置いてあるのも極めつけである。
 ―――この人絶対昨夜からこの調子で働いてるだろ。
 ハーディを見上げておとなしく言葉を待つラインを見ながらそう結論を出し、ハーディは再度溜息をついた。
「えーと。公務と私用が一件ずつです」
 こくり、と頷きが先を促す。
「まず公務です。頼まれていた事務が終わりましたのでここに。陛下に確認していただきたいのは上から3枚で、あとは大丈夫かと思います」
「そうか、ありがとう。御苦労だった」
 受け取った書類の束をぱらぱらとめくる。
 ―――内容が代筆であるあたり信頼はしてくれているんだろうけど、最終的には自分で確認するあたりこの人の性格滲み出てるよなぁ。
「で、私用なんだが。アーリスが、今日はいい天気だしちょっとみんなでピクニックに行かないか、と。お茶の時間に裏の滝まで」
「!! 行……、………………きたい、な」
 一瞬顔が輝いたものの、目の前の書類の山に視線が落ちて、明らかにテンションも下がった。
「……まだ終わらないんですか、公務」
「あぁ……自治区長たちには明後日までに返答すると言ってあって、送付の手間とか考えると今日中……」
「自治区……?」
 オウム返しにしたら、ラインの顔が固まった。「あ、いや、」と目が泳ぐ。
 ここで自治区と言うと、アステリアとの国境付近をさす。一応二国間の国境は存在しているのだが、そこに接しているのが双方とも自治区で、計十数になるそのあたりの事務は二国間共通として持ち回りで処理をすることになっている。
 持ち回りでの処理ということになっている。大事なことなので二度言った。
 先月も先々月もセンティレイド王がやっているのを、ハーディは知っている。
「自治区事務……どこまで進んでるんですか」
「えーと……実はまだほとんど……あ」
 机の上の山をひったくった。枚数はさして多くないのだが、ちゃんと目を通して一筆添えて判を押さなければいけないという面倒な作業なのである。
「これ、今月はアステリア王の番じゃなかったんですか」
「……あー……そうだったか?」
 ―――これだからこの人は!
「わかりました、じゃあ俺がこれユフィアシード王に返してきます」
「は!? ちょ、待ってくれハーディ、」
 書類を手にしたまま数歩下がってしまえば、執務机を間に挟んだラインには手が届かない。
「だいたいなんで陛下は毎回毎回ユフィ王のおしつけ断らないんです!」
「いや、だってどちらにせよユフィさんとは情報共有しなきゃならないんだから、それなら最初から私がやった方が」
「早いって? 間に合ってないじゃないですか!」
「いっ……いや、だから間に合わせ」
「いいですか陛下」
 声のトーンを落としたら、ラインは口を閉じた。
「俺としては、陛下ができる範囲で、国内の仕事を優先させてほしいんです」
「……優先してるだろう、今だって残ってるのは自治区事務だけで」
「国内の仕事と言うのは、」
 反論は反論で制す。
「国王がちゃんと元気でいらっしゃることでもあるでしょう。体壊すのが公務だとは、俺は思いませんけど」
「―――……。」
 体調のことをつつけばラインが黙ることは、ハーディもよく知っていた。逆手に取る手段ではあれど、―――本気で心配してもいる。
 この人は放っておくと頑張りすぎるのだ。だから誰かがどこかで止めないといけない。
「ということで。公務終わったんだろライン様、ちゃんと寝ろって」
「…………」
「なんだよ不服そうな顔して。ピクニックの前には起こしてやるから」
「……―――、ユフィさんの負担が、増える」
 ―――この期に及んで、まだユフィ様の心配を。
 わかっている。ハーディだってわかっているのだ。
 ラインにとってユフィはきっと親に近い存在で、頼りにするまいと思いながらも頼りにしていて、だから自分がなんとかできることは、自分でなんとかしたい。
 ―――俺にとってのこの人のように。
「気持ちはわかるが、ライン様」
 だからハーディは大きな溜息をついてみせて。
「残念ながら俺は、あんたの負担減らす方が優先なの。どうせぶっ倒れてもユフィ様に心配かけるぞ?」
「……それはそうだが……」
「ユフィ様だってやる時はやる人だから大丈夫だって。ちゃんと寝とけよライン様」
 ひらりと手を振って執務室を後にする。
 扉を閉める直前で、呼びとめられた。
「……、ありがとう」
 微笑には、肩を竦めるだけにする。

――――――

 ほんとはこのあとユフィのところに殴りこみに行ってもらう予定だったけどめんどくさいのでカット(笑
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