突発SS。
これ、文より絵にした方が絶対見栄えがすると思うけど仕方ない。(笑
これ、文より絵にした方が絶対見栄えがすると思うけど仕方ない。(笑
「マコー!」
呼ばれて振り向いた真子斗は、一瞬声の主を見つけられなかった。
「フィオ……ナ!?」
廊下を走って来たのは、フィオナ―――の恰好をした子ども、である。
「マコみつけた!」
「え、……ちょ、え!?」
小学生くらいの少女に、けれど明らかにフィオナの少女に手を引かれている。
なんだ、自分は夢でも見ているのか。
「お茶のよういができたよ!」
「は、お茶!?」
「みんなまってるよ! 早くいこっ」
「え、あの、えええええええ!?」
ぐいぐいと強引にひっぱられるのに、混乱している真子斗はただ従うしかない。
促されるままに中腰のままばたばたと走っていった先では―――
「おそいぞマコちゃん」
「マコトのぶんもさきにたべちゃうとこだったじゃん」
そこにはわらわらと―――見たことのある、けれど小さいサイズの姿ばかりが。
「ユフィさん……アーリス……な、なんなの……?」
「マコちゃん、ケーキをきってくれないかい」
「ウィルトさん、も……?」
なんだろうこれは。知り合いがみんなミニマムサイズになっている。
わけもわからないままに「ここ座ってー」と言われてとりあえずソファに腰をおろした。
「……あの、フィオナ……?」
「なぁにー? マコのお茶なら今よういするから」
呼んだら返事をされたのでおそらく本人なのだろう。何故だ。
今のフィオナから比較すると、ティーポットがとても大きく見える。カップに注ごうとする手が震えている。
「……だ、大丈夫……?」
「だいじょう、ぶ」
必死な姿にはらはらしつつも、その一生懸命さが笑みを誘う。
「なぁケーキケーキ! ケーキきって!」
「あぁ、はい……」
ユフィにせがまれて真子斗はナイフを持った。「危ないから離れててね」と追い払って、ホールケーキを切りわけにかかる。
「……あ、ねぇ、とりわけのお皿を、」
真子斗の言葉に、す、と取り皿を差し出してくれたのは―――
「……ライン、さん」
「おねがいします」
うっわなにこの満面の笑み、天使か、天使なのか、めっちゃかわいいんだけどなんだろうこの生き物……!
「マコちゃんはやくー」
「は……っ、はいはいごめん」
真子斗がケーキを取りわけるのを、その他大勢は急かすだけなのに対し、ラインはちゃんと皿を並べたりしながら手伝ってくれる。
「ラインさん……やっぱできる子だね、あたし感動した」
「なにがですか?」
えらいえらい、と頭をなでてやると、少年はにこりと嬉しそうに笑って―――
「かわいいッ!」
堪え切れずに真子斗はラインをぎゅうと抱きしめた。
「あー、ラインずるいおれも! おれも!」
「マコ、わたしもぎゅーして!」
「―――……はっ」
気づくとベッドの上だった。部屋の中は明るい。
「……ゆ、夢オチかー……」
安心したのかがっかりしたのかよくわからない。寝起きからものすごい疲労感に苛まれてベッドの上でごろごろしていると、
「マコー!」
フィオナの声にぎょっとして真子斗は体を起こした。
戸口に立っていたのは……ちゃんと普通サイズのフィオナである。
「……どうしたの、なんかひどい顔してるよ?」
「いや……なんでもない、ちょっと夢見が」
あらそう、とあっさりした反応を返すフィオナの後ろから、ひょいとラインが顔を出した。
「大丈夫ですか?」
「うん……いや、たぶん幸せな夢だった」
そうは見えない顔だったのだろう、ラインは苦笑する。
「朝食は城下にします?」
「え? ……あっ!!」
今日は三人で城下に遊びにいく予定だったのだ。おそらく真子斗がいつまでも起きてこないから呼びに来てくれたのだろう。
「ごめん、すぐ準備するね!?」
「別にいいよ、ラインとデートし」
「やだ!!!!!」
「即答……」
「ふふ、部屋にいるので声かけてくださいね」
若干つまらなそうなフィオナと、愉快そうなラインの顔が、廊下に消える。
服を手に取りながら、あ、と真子斗は気づいた。
今日はこどもの日だ。
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