せっかく情報仕入れたから双子SSです。
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「ライン」
「何です姉上」
「ひまなんだけど」
「……私は忙しいです」
窓から降り注ぐ柔らかい陽光。センティレイド王都スヴェレディアは、睡魔を誘うような穏やかな陽気に包まれている。
そんな平和と形容するには絶好の日和と場所に、この国の頂点に立つ姉弟が一組。
「……というか、姉上」
「なぁに?」
「……重いです」
「レディに向かって重いとは失礼ね!」
「いいから退いてくださいよ、非常にやりにくいんですけど」
執務椅子に座る弟の背中におぶさるようにして、腕を首に絡め密着していたフィオナは、機嫌を損ねて頬を膨らませた。
そのまま、腕の力を強める。
「ちょ、締まるじゃないですか苦しい苦しい!」
本気でないのはわかっていて、半分笑いながらラインが腕を叩いて降参の意を示した。フィオナは腕の位置を少し下げ、肩を抱くようにして頭を首もとに埋める。
「……、どうしたんです」
ラインの胸の前で組む形になっている指を、彼は摘まむように揺らして遊ぶ。
「ひまなの」
「城下にでも行ってきたらいかがです?」
こんなにいい天気ですよ、と弟が外を見たらしいことは、さらりと動いた銀糸と、額をつけていた首筋の動きが教えてくれた。
それにフィオナは、首を横にふる。
「一人じゃつまらない」
むくれたように呟けば、苦笑された。
ラインが何かに手を伸ばしたので、預けていた体重を少しだけ軽くする。
「では姉上にお仕事を」
「えーめんどくさい」
眉根を寄せたフィオナにラインはにこりと笑いかける。
「手伝ってくださいよ」
「そんな気分じゃないの」
「……今日の仕事はあとこれだけだから、姉上が手伝ってくれたら早く終わりますね」
言い回しに含みを感じ取って、フィオナは身を乗り出し弟の目を見た。
「早く終わったら、城下に遊びに行けますね」
お願いできますか、と差し出された書類の束を、フィオナは素直に受け取った。
「よし、1時間以内ね」
「ふふ、了解です」
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