ティアシーク=リアディ
ユフィの息子。15歳。……のはずだが大人っぽくなった。
父親がとにかく嫌いな反抗期まっただなか。だけどラインのことは狂信していて、彼の前だとものすごく素直。
……という設定のあるティアスです。前々から出そうと思ってはいたのですが、キャラが固まらなくて……。友人の力を借りてようやく形になったので、お披露目ですよ。
格納で親子SSのっけときますー。
++―――++
「ティーアスー! ティアシーク、我が息子よ! 暇か!?」
「うっさい出てけッ!」
無駄にハイテンションで乱入してきた父親に、ティアスは一喝した。けれどユフィは満面の笑みを絶やすことなく、ティアスの私室に踏み込んでくる。
「出てけっつってんだろマジで入ってくんな!」
「相変わらず冷たいな。何してるんだ?」
読書中であることは一目瞭然であるはずなので、ティアスはあえて無視をした。ユフィは勝手に椅子をひっぱってきて、ティアスの手元と視線の先を覗き込んでくる。
「魔術書? 勤勉家だな……ラインみたいになるぞ?」
「なりたいんだよ」
挑むように、呟く。
父の有能さは、ティアスもよくわかっている。見習うべきだということも。だが、性格に問題がありすぎると思うのだ。たとえその極度に明るい性格が、臣下や民から絶大な人気と信頼を得る土台となっていても、だ。こんな大人には絶対になりたくない。
それに対して、父が仲良くしているラインの方はどうか。理想の国王像そのままのような人だ。知識量も、技術も、言動行動の端々から感じる限りティアスは彼以上に博識な人を知らない。だが決して傲慢でも力を鼓舞するわけでもなく、物腰は限りなく穏やかで。ティアスのことも、小さい頃からよく面倒をみてくれていた。魔術の知識も彼から与えてもらったものが大半だし、今読んでいる本だってラインから借りたものだ。
何故彼程の人が、うちの親父を頼りにしているのか。謎だ。不思議すぎる。
「そうかー。ティアスの目標はラインか」
椅子の背もたれに頬杖をついて言うユフィを視界の端に収めつつ、仕方ないからティアスは言葉を返すことにする。
「親父よりはよほど人生の指針にできる人間だぜ」
「……うおぉ……言うようになったなお前も。地味に傷つくぞ」
「じゃあ少しは目標にしても言いと思えるような日常生活を送ってくれよ。ほら、邪魔だから出てけっての」
しっしっ、とティアスが手を払うと、これ以上居座っても無駄と悟ったか、「ちぇー」とつまらなそうに口をとがらせて、ユフィは立ち上がった。
「あーあ。仕方ない、公務片付けるか」
「なんだそれ。優先順位間違ってるぞばかじゃねぇの」
「いいんだよ。俺様ルールだ」
何様だ。いや、声に出して聞けば「ユフィアシード様だ」と返されるのはわかっているから黙っておくけれど。
「ラインいないから仕事回せないしなぁ……てか、父親に向かって馬鹿はないだろ」
いやちょっと待て。
「ラインいないのか」
「無視か。おー、ラインはあれだ、年一回の諸国巡り。10日は戻らないな」
「ふーん……」
そういえば前に会った時に、しばらく忙しくなると言っていた気がする。そうだ、だから5冊も一気に貸してくれたんだった。
「世界の中心たるセンティレイドの国王陛下は、まったくもって多忙だよ」
「その多忙の原因の一端が親父だろ、自重しろ」
オレが即位したら絶対にラインの助けになってやるんだ。早く引退しやがれ親父。
「あー。冷たい息子だな……こんな子に育てた覚えはないのに」
「なら己の性格と人生を思い返してみろ」
「うわぁ俺の存在を全否定か。さすがの俺も泣くぞ。……それなら見直してもらえるように、仕事頑張るかー」
そのままふらりと出て行った父親の背中に、ティアスは溜息をつく。
まったく。本当にあれがオレの父親なのか。信じたくない。
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