どうもこんばんは架です。
せっかく七夕なのでSS書いてみました。
久々に久遠キャラ動かしたので、若干キャラが違うというかなんというか(←
短冊は、できるだけ上に飾った方が叶いやすいらしいですよ。
せっかく七夕なのでSS書いてみました。
久々に久遠キャラ動かしたので、若干キャラが違うというかなんというか(←
短冊は、できるだけ上に飾った方が叶いやすいらしいですよ。
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「さーさーのーはーさーらさらー」
「マコ、切るのってこっちだっけ?」
フィオナに折り紙をさしだされて、真子斗は手を止めた。
「うん、あってるあってる」
みんなで七夕飾りを鋭意製作中である。
こういった行事を紹介すると、「やろう!」という話になるので、真子斗も面白い。
笹は裏山に取りに行ってきた。談話室の窓辺に設置予定だ。
「しかしすごいですねぇ。紙を切るだけでこんなに美しい飾りが作れるんですか」
と言うラインの前には、几帳面に作られた飾りが積まれている。
「さすがラインさん! 早いしきれい」
「楽しいです、こういうの」
なんとも彼らしい感想だ。
「……、ねぇ、ウィル……」
「なんだいフィンちゃん」
「ウィルって………………、……不器用、だよね」
ずばりと言われたウィルトの手元には、数個の飾りが、とりあえずは仕上がっているようなのだが、それがどうにも、―――なんというか、個性的としか形容しがたい。
指摘された本人は、困ったような諦めたような表情で溜息をついた。
「今に始まったことじゃないよ……俺にこういうことをやらせるのが間違いだ」
「姉上に誘われて断らなかったウィルトが悪いと私は思います」
「うるさいねライン、殴るよ」
「私は正論を言ったまでです」
まぁまぁ、と苦笑しつつフィオナが仲裁に入っている。
机の上を眺めて、マコトは仲裁に代わる提案を口にした。
「じゃあさ、飾りも結構できてきたし、ウィルトさん飾りつけして?」
「ん? 飾りつけか、任された」
「私もやるー! 適当にひっかければいいんでしょ?」
と、フィオナが飾りをかき集めはじめたところで、談話室の扉が開いた。
「みんな揃って楽しそうなことしてる!」
「あ、ユフィさん」
「俺はのけ者かっ? ひどい!!」
登場するなり大げさに嘆きだしたユフィにも、ちゃんと声を掛けてある。誘いに行ったらちょうど政務中で手が離せなかったらしいのだ。おそらく伝言を聞いてやってきたはずなので、これも悪ふざけだろう。
「あぁ、俺が必死に働いているのを、ここで笑ってたんだな……!」
「笑ってはいませんが、出遅れたのはあなたの日頃の行いが悪いからですよ★」
「ちょ、ラインさん……」
爽やかに黒い笑顔を浮かべるラインである。
「おま……俺に恨みでもあるのか」
「それはもう腐る程に」
「最近言うようになったなこの野郎……!」
「ユフィさーん、喋ってないで飾りつけ手伝ってよー」
フィオナに呼ばれたユフィは瞬時に機嫌を直して、床に寝せてある笹の方へふらりと移動した。
お互いに冗談だということが暗黙の了解となっているのは確かなので、放っておいていいだろう。
「ラインさん、短冊きるの手伝って」
折り紙より少し厚めの紙をざくざくと切りながら、「真子斗さんは何を書くんですか?」とラインが直球で問いかけてきた。
「え?」
「タンザクに書くことです。何をお願いするんです?」
「うーんそうだなぁ……」
仕事の早いラインが切り分けた短冊に穴をあけひもを通しながら、ずっとラインさんのそばにいられますように、というのがまず思いついて、思いついたはいいが恥ずかしくて言えなくて、結局、
「えーと……みんながいつも笑顔でいられますように、かな」
と当たり障りのないことを答えた。
「笑顔ですか。……ふふ、あなたらしい」
「え、どういう意味?」
「特に深い意味は」
にこ、と浮かべられたいつもの微笑が、何故か癇に障ったので、「じゃあラインさんは?」と少々強い口調で問い返した。
「私ですか? 私は……」
彼の笑顔が一瞬だけ悲しそうに歪んで、それに真子斗が怯み、
「マコちゃん、ライン、飾りつけこれでだいたいだよ」
三人が机の方に戻ってきたのに注意を逸らされた瞬間耳元に寄せられた言葉は、
「―――ずっとあなたの隣にいられますように、と」
驚いて真子斗が見上げれば、彼は肩を竦めるだけで。
―――なんだか、負けた気がした。
「あ、じゃあみんなで短冊書こう!」
今いない人にもあとで書けるように準備しとこうねー、と言う裏で、真子斗は心に決める。
さっき言えなかった願い事は、一番上に飾ってやるんだから。
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