その内の一人な架です、こんばんは。
昼休みに食べきれなくてうちに持って帰ってきました。みんなパウンドケーキとか生チョコとか、手が込んでるなぁ……、とオトメになりきれてない自分を痛感しました(泣
そういえば来年は受験真っ最中というか自宅学習期間というか、とにかく学校行ってないと思うので、こんなにフィーバーできるのは今年が最後だったんだなぁと、ちょっとあはれな気持ちになってます(ぉ
「妻からは毎年チロルチョコ1個なんだよ」と暴露していた某A先生に、あまったやつだけど渡したら喜んでくれたのでよかった。うん。これで3日は食いつないでくれるね(どんな先生だよ
さて、昨日の続きいきましょう。
お前何が書きたいのぐだぐだじゃん、なんて苦情は受け付けません★(殴
けほん、こほんと咳き込む声が聞こえる。
入るぞと一言断って、扉を開けた。レースのカーテンから透ける光で室内は明るいが、メイドの姿はない。
天蓋の閉じたベッドに近づく。傍らの机に持っていた盆を載せて、そっと中を覗いた。
「……セレナ。起きてるか?」
「……あぁ、ユフィ…」
来てくれたの、と体を起こそうとする妻を支えて、肩にガウンをかけてやった。風邪の所為で綺麗な声が台無しだ。
「どうだ、具合は」
「えぇ……だいぶ良くなってきたわ」
ベッドに腰掛けて額を重ねながら、「早く治せよ」とぼやくと、
「……ふふ……、風邪って、誰かにうつすと治るらしい、わよ?」
うつしてあげようか、とセレナが笑った。
「えー……。さすがにそれはちょっと、遠慮させてください」
冗談よ、とセレナは楽しそうに言う。よかった、まだ熱はあるようだが、昨日よりは随分と良くなっているようだ。
「……でも、私の傍にいたら、本当にうつるわ」
「大丈夫だよ。俺は風邪なんかひかない」
「どこからくるの、その自信?」
笑い声に、咳が混じる。机からカップを取って差し出した。
「ほら、薬湯。ちゃんと飲めよ?」
あら?とセレナは目を丸くする。
「どうしてユフィが?」
「ちょうどメイドと行き会ったんだ。ついでに、な」
湯気の立つカップを手渡す。セレナはそれを一口ずつ、ゆっくりと飲んでいく。
「……ごめんね」
急に謝るので、反射的に「何が」と問い返していた。思い当たることが見つからない。
「今日……本当はね、久しぶりにマフィンでも、焼こうと思っていたんだけど……」
あぁ、そのことか。
「別にいいよ。それはまた今度、お前が元気になったら、な?」
―――俺はこうして、今年もお前と一緒にいられることが、何より嬉しいんだ。
虚をつかれたようにしばし呆けていたセレナは、「もう、キザなんだから」と頬を赤らめた。
そういうところは昔から変わらない。本当に、彼女はかわいらしい。
と、熱を持った手が重ねられた。
「―――ユフィ」
心なしか潤む瑠璃色の瞳が、まっすぐにこちらを見る。綺麗だ。熱の所為か、これは。熱があるとは素晴らしいな。
「……ユフィ。愛してるわ……」
ふわりと花の開くような微笑に―――これに惚れた俺は、本当に弱い訳で。
そっと髪を撫でるようにして、そのまま胸に抱く。上気した顔を見られたくなかったのだが、……これでは一向に落ち着こうとしない心音が聞こえてしまうかも知れない。
―――……まぁ、いいか。
「……俺も……。愛してるよ、セレナ」
そうだ。風邪が治ったら、あの丘に夕陽を見に行こう。
あの二人だけの思い出の場所へ。また二人で、夕陽を見に行こう。