13年くらい前のライン親子の話。……すんません、戦闘シーンが書きたくなったんです(ぉ
ラインは戦闘手段をほとんどルフィスから叩き込まれています。
愛剣もルフィスから譲り受けたもの。
つまり憧れであり目標でありライバルなんですね。(よくある設定
……ちなみにラインは10歳まで、私生活では敬語使わず、一人称「僕」でした(わお
……文章の途中で視点キャラが変わるのは、やっぱり読みづらいんですかね……;;
「……来いよ」
不適に笑む父王、ルフィスに向かって、ラインは投擲用のナイフを左手に構えて、地を蹴った。
できる限りの速さで肉迫したつもりだったが、彼の姿は既に手に届く範囲から消えている。ち、と舌を打って方向転換と同時にナイフを投げる。
乾いた金属音をたててそれは地に突き刺さり、確認するより早くラインは腰を落とした。頭上で空を切る音。なびいた髪が風に舞い、
「……よくかわしたな」
余裕を見せる彼が手にした長剣を蹴り落とそうとしたが、その前にまた距離をとられた。
鋭く息を吐き、胸元から右手でナイフを取り出す。短い呪を唱えながら、父の足の向きを確認して、走り込む先へと投げた。
「届け……っ!」
刃の先にさらされたルフィスは軽く目を見張り、
「へぇ……だが、甘い」
剣を左に持ち替え、右手を前へ掲げて瞬時に防護壁を築く。障壁に当たった刃は空に留まり、刹那に紅蓮の炎を纏った。
視界を灼くほど赤々と燃える、身の丈程もある火球は、それでも防護壁に阻まれてルフィスを灼くことはない。息子の成長に満足しつつ、愉快気な表情を浮かべ軽く手を払うと、跡形もなく火球は消え失せた。
重力に従って落下するナイフの向こうから、案の定追い打ちが掛かるように氷の刃が無数飛んでくる。先程の火球は目眩まし、本命はこちらだ。
迫りくる氷刃を、軽い右手の払いで消してやる。
「ふん、お前も―――」
まだまだだな、と言いかけた途端、背後に殺気。
反射的に長剣を右手で握り、振り返りざまに斬る。キィン、と金属が擦れる耳障りな音がした。
「……僕が、何?」
短剣を構えたままのラインは、息を弾ませながらも笑っている。
ここまでとは、とルフィスは口端をつり上げた。さすがは我が息子だ。
だが。
「―――まだ、俺には勝てない!」
長剣が風を纏い、驚いて目を見開いたラインは、刹那吹き飛ばされた。受け身をとる間もなく叩きつけられて、息が詰まる。
動けないまま、眼前に刃が迫って―――
「俺の勝ちだ」
眉間にぴたりと切っ先を突きつけられて、うぅ、とラインは唇を噛んだ。
「……負けました……」
がっくりと肩を落とすラインをよそに、剣を鞘に収めてルフィスはにやりと笑う。
「はは、俺に勝とうなんざ100年早いんだよ」
立てるか、と差し出された手を素直に握って立ち上がり、服の埃を払いながらラインは父を睨んだ。
「手加減してくれたっていいじゃない」
「嫌だね。俺の腕が鈍るだろうが。悔しかったらもっと腕を磨け」
うー、と不満そうに渋面を作るラインに、ふと笑みをこぼしてルフィスは言った。
「まぁ、ここまで強くなったんだ。素質はあるし、越えるまではいかなくても、そろそろ俺に届くんじゃないか?」
わしゃわしゃと髪をなでられて、ラインは逃れようとしながら叫ぶように。
「いつか必ずっ、絶対越えてみせるっ!!」