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 へきさんこと碧砂さまが素敵に不機嫌な表情のユフィを描いてくださいまして、それにインスピもらって突発SS。ちゃっかりコラボです(笑
 そんな、挿絵にしたい素敵絵はへきさんのサイトへ!
 ……ユフィの変わり身と使者への気遣いにみんな結構感嘆してるんだけど、敢えて言わない仲なんだよきっと。(←


「―――それで?」
 玉座に深く腰掛け足を組み、肘掛けを用いて頬杖をついたまま、ユフィアシードは足元で頭を垂れる男を気怠げに見下した。
「面倒な文句も言い回しも願い下げる、簡潔に用件を言ってもらおうか。貴様が擁する愚王は、私に向けてなんと伝言を託した?」
 普段の彼における明朗さとも温厚さとも真逆の、苛立ちの中に怒りさえ含ませた声言い放てば、かしずく男はびくりと肩を震わせてから、怯えたようにぼそぼそと言葉を発し始める。
 ―――入り口から様子を伺う三人には、音としては届けど言葉としては聞こえてこなかった。
「……なんて言ってるのかな? くーさんさっさん聞こえる?」
「聞こえねぇからちょっと黙っとけ鳥サン」
「いつになく不機嫌みたいだね王様。どうしたんだろうなっ」
「ひよっこ……オマエ聞く気ねぇだろ……」
「そして随分と楽しそうじゃねぇかい」
 極楽鳥と狂とさっちゃん。異世界から来た国王の友人達は、友人ではなく国王の顔をしたユフィを目の当たりにして、好奇心を隠せないでいる。
 謁見室の扉番を任されている兵士は、この3人が王の友人であることをもちろん知っていて、王がこの3人にかなり友好的なのも知っていて、だからちょっとだけ覗かせてくれと頼まれて断り切れず、黙って盗み見……もとい、見学しない3人にひやひやしてもいた。
「―――話にならん」
 大仰に溜息をついて、ユフィは立ち上がった。夕陽色の双眸に冷徹な光を宿して、異国からの使者らしき男を、睥睨する。
「わざわざ出向いてもらった君には何の非もないが、悪いね、その伝言に対する望ましい答えを私は持ち合わせていない。そちらが態度を変えないのならば、こちらか変わることもないと、愚王に伝達していただこうか」
「し、しかし……」
「書状ならちゃんとしたためる。君はなにも言わずにそれを献上すればいい。もしそれで君の首を切るようなら……私は本気でかの愚王を軽蔑するよ。そうなったら君のことは私が雇ってやるから安心したまえ」
 長旅で疲れたろう、部屋で休んでいるといい。言い置いてユフィは先に部屋を去ろうと扉の方へ近づいてくる。
 図った訳でもなく、3人は一斉に扉から一歩距離を置いた。
 数秒おいて扉が開き、出てきたユフィに兵士が敬礼する。
「お疲れ様です!」
「あぁ、ご苦労。……少々きついことを言った。丁重にもてなすように」
 省かれてはいるが、まだ中にいる使者を指していることは明白だ。
 さりげない気遣いを見せ、そのまま私室の方へ歩き出すユフィ―――を、さっちゃんが後ろから羽交い締めにした。
「ッ!? っと……なんだサチコか……驚かせんな」
「苦情ならひよっこに言え」
「あーひどいなぁさっさん、俺じゃなくてくーさんだろ」
「提案はオレだが、身長的にサチコがいいだろって言ったのは鳥サンだぜ」
 さっちゃんの手をほどいて襟元を正しながらユフィは苦笑する。
「……なんだ、3人揃ってたのか……」
「揃ってユッフィの見学会だ」
「……見学?」
「王様な王様をさ!」
 その意味を理解したユフィの表情が、みるみる青ざめていった。
「なっ……まさか見てたのか今の!?」
「そのまさかだなぁ」
「一人称が『私』だったねぇ、王様っ」
 それを聞いたユフィは呆れたように溜息をついて、うわーまじでか気づかなかったよ、などと呟きながらがしがしと頭を掻く。
「まぁ……あれだ。一応外交の話だから、他言はやめてくれ」
 それは承知している。まぁ、他言するにもこちらでの知人はものすごく限られているし、自分の世界に持ち帰った所で何の話だ状態である。
 それよりも面白かったのは。
「ユッフィ……やるときゃやるな」
「まったくだぜぇ」
「は……はぁ!?」
「かっこよかったよ王様、見直した!」
 彼らの普段の言動が言動なので、褒められているのか貶されているのか判断しがたい。
 とりあえずユフィは眉間に皺を寄せ、再度溜息をついて、くるりと踵を返した。
「俺はまだやることあるから適当にくつろいでってくれ」
 そう言ったところで、こいつらが散らないことは重々承知で、案の定3人は歩き出したユフィのあとを騒ぎながらついてきた。
 ―――それなりに機嫌が直っていることに、本人は気づいていない。
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