彼は―――“至高王”と称される男は、ゆったりと玉座に身を沈めたまま、気だるげに頬杖をついていた。
「それで?」
紡がれる声は、耳から脳を侵蝕する。ざわり、と彼の纏う空気が、暗い密度を増した。
「君は、だ。この私を、己の不満と悲劇の捌け口として、殺したいのか?」
炯々と薄闇に閃く銀と青が、こちらを捉えて放さない。
「―――それとも、」
にいやりと形のよい唇が歪む。
「その絶望をすべて無に帰すために、私に殺されたいのか?」
答えないのか、応えられないのか。己にも知れぬ硬直。
“至高王”が、ゆらりと立ち上がる。
目の前に迫った銀色が彼の髪ではなく本物の白刃だと気付いた、その刹
「―――愚かなことだ」
興味の欠片も残っていない双眸が、横たわる骸に落とされる。
「我が国に、―――私に。勝てるとでも思ったか」
狂的な殺意は消えている。今その瞳に宿るのは―――嘲笑。
一滴の返り血も浴びぬまま、彼は亡国の王城を去る。
++―――++
すいません急に「この人大丈夫?」みたいなのが書きたくなりまして。
前半の視点は、無謀にもセンティレイドを本気で怒らせた、どこかの王だと思われます。
……ケータイの変換機能の未熟さに泣けてくる……(←
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